プレゼンテーションは合意を形成し、相手にアクションを起こさせるためのコミュニケーションです。
その合意形成を体系化したアリストテレスは、
合意形成にインパクトに大きな影響を与える3つのものとして
ロゴス(理屈・論理)、エトス(性格・習性・気風)、
パトス(感情・感動・情熱)を挙げました。
これまでこのブログで、エトスとパトスのお話についてはしてきました。
そこで本日はロゴスのお話です。
ロゴスとはロジックと同源の言葉です。
つまり、論理や理屈です。
プレゼン内容には、論理や理屈が必要だということです。
一見当たり前のように聞こえますが、なぜ必要なのでしょうか?
これはエトスとパトスと対比するとわかりやすいかも知れません。
以前パトスの説明をしたときに、パトス(感情、感動、情熱)と
エトス(性格、習性、気風)はエンゲージメントを醸成するために
必要だというお話をしました。
エンゲージメントとは、信頼やつながりという風にご理解ください。
プレゼンターとリスナーとの間のラポールという風に
言い換えてもいいかも知れません。
そしてこのエンゲージメントが築けていると、
相手との合意がぐっと取りやすくなるのです。
つまりエトスとパトスは、相手との信頼関係を醸成し
合意を取りやすくするために必要なものです。
では一体なんの合意をとるのでしょうか?
それはあなたの提示する価値です。
その価値が相手にとっても有用なものであるという
合意をとるためのコミュニケーションがプレゼンテーションです。
そしてその価値を明確にするためにロゴスが必要なのです。
エトス、つまりあなたの人間性が信頼され、
パトス、相手の感情が盛り上がれば個人的な合意は取れるかも知れません。
しかしビジネスの話、それも大きな話であればある程、
感情の盛り上がりだけでは決まりません。
だからロゴスをしっかりさせてあなたの提供する価値を明確にする
必要があるのです。
そうすれば感情的盛り上がりとは離れたところでも
しっかりと価値を一人歩きさせることができるのです。
とても面白いプレゼンを聞いたのだけれども、
翌日になったら内容がほとんど頭に残っていなかった
という経験はないでしょうか?
そうした事態はパトスが一級品であっても、
ロゴスがしっかりしていないために生じることが多いのです。
こうしたプレゼンは現場レベルでは盛り上がっても、
その後の社内稟議の段階で通らなくなってしまう可能性が
高くなってしまいます。もったいないです。
だから価値を明確化するロゴスはとても大切なんですね。
しかしロゴスの役割とは実はそれだけではありません。
あなたの提供する価値を「伝わりやすいものにする」役割も
ロゴスにはあるのです。
つまりロゴスがしっかりしていると、
あなたの提供する価値が明確になり、
伝わりやすくなるということです。
なぜ伝わりやすくなるのか?
そのことについてはまた次回お話をしましょう。
ではまた!